彼女の社会に対する見方は、中学、高校と過ごした奈良女子大付属で培われたようだ。複雑な家庭環境があって、そこに刺激的な出会いが加わった。幼い頃からこれでもかというくらい大人のネガティブな側面を見せられてきた。だからこそ、「こうあってほしい」という理想を吸収できた。弱者と呼ばれる人たちの立場からの視点が彼女の中で育っていったのだ。
「国からも市からも一切資金の援助はありませんでしたので、運営費を作り出すために奔走しました」
自分が変わればまわりが変わる。気功の講座で教わったことだったが、それが本当であることを身をもって知った。気功の講座をきっかけに、いいことが次々と起こった。2001年には園が認可され「社会福祉法人どんぐり福祉会 どんぐり保育園」となって、運営費が国から出るようになった。さらに多くの市民の浄財で新しい園舎も建ち、今では4つの保育所を運営するまでに発展したのだ。