世界中が新型コロナウイルスで大騒ぎしています。COVI D‒ 19と命名されたのでそう呼ぶことにします。
ウイルスの蔓延というと、1918年の「スペイン風邪」が 史上最悪と言われています。半年で5000万人ほどが亡くなりました。1957年と68 年にはアジア風邪が流行し、数百万人の犠牲者が出ました。
記憶に新しいところでは 2002年のSARS騒ぎです。 わずか数ヵ月で 26 か国に広がり、 8000人以上が感染。700人ほどの死者が出ました。
私はSARSが大騒ぎになっているころ、中国へ行く用がありました。親しい人が亡くなりお葬式があったからです。スタッフは「こんなときに中国へ行かな くていいんじゃないですか」と反対しました。でも、お葬式ですか ら、次の機会にというわけにはいきません。どうしても、彼にお別れを言いたかったので、反対を押し切って出かけました。スタッフはスーツケースに山ほどのマスクを詰め込みました。私は基本的にはマスクは嫌いです。 医療者がマスクをしていると、私は「医療は格闘技だからマスクなんてしていちゃだめだ」と言ってきました。中には、「でも、タイガーマスクなんてのもいますよ」としゃれた切り返しをしてくる若いドクターもいましたが、 細菌やウイルスにびくびくしていては医者はやっていられないというのが私の考え方です。
「医者は、いろいろな細菌やウイルスに感染して免疫力を高め るんだ」
そんなことも言っていました。
中国へ行ってもマスクはしませんでした。だいたい、あのころは中国人も欧米の人もマスクなんてしていませんでした。マスクをしていたのは日本人だけでした。
今回のCOVID‒ 19 は、テレビで見ていると、中国でもみんながマスクをしていて、お店で買えなくなっています。日本の医療機関でも、マスクばかりで はなく、消毒薬、手袋が足りなくなっています。ウイルスによる感染も問題ですが、こうした物不足はさまざまな方面に影響を与えます。
間違いなくSARSのときよりも深刻な状況になっています。 感染者も死亡者も「これは油断できないぞ」と思わせるくらいに日に日に増えてきています。
ただ、必要以上に心配したり怖がったり不安になることはやめたほうがいいと思います。テレビや新聞はあまりにも騒ぎすぎという気もします。
ウイルスに効く薬はありませんから、私たちが頼りにするのは自分自身の免疫力です。インフルエンザと同じで、感染しない人もいるし、感染しても発症するとは限りません。発症したとしても軽くすむ人もいます。重症になっても死んでしまうとは限りません。いくらウイルスが広がっても、免疫力が十分に働く体であれば、大事にはならないのです。免疫力を落すことはできるだけ避けたほうがいいでしょう。
免疫力に一番大きな影響を与えるのはストレスです。心配や不安、恐怖はストレスです。なるべく大らかな気持ちでいること。来るなら来い! という気持ちでいることです。