WEB限定記事

い氣い氣ピープル ハッピーライフ

by Yasuhisa Oharada

とことんお客様に寄り添い、愛と光の伝道者として社会貢献する

~静岡県藤枝市・藤村潔さん

小原田泰久

 自分自身が苦境に立たされたことがきっかけで、少しでも人の役に立つ仕事がしたいと生命保険、損害保険の代理店を始めた。静岡県藤枝市の藤村潔(きよし)さん(67)は、「目先の損得よりもお客様の先を見据える」ことを理念として、忙しく各地を飛び回っている。人に喜ばれる充実の日々だ。

 

息子さんのバイク事故をきっかけに保険の業界に入る

 1995年。人生の大きな転機となった年だ。バイクで通勤中の息子さんが2トントラックと正面衝突。バイクのハンドルとタンクの間に左足がはさまり、5ヶ所の複雑骨折、骨が飛び出すほどだった。

小原田泰久「家内と病院へ飛んで行きました。命は大丈夫だけれども、左足は切断しないといけないかもしれませんと、主治医から言われました」

 ほぼ切断だろうと主治医は見ていたようだが、奇跡的に最悪の事態は避けることができた。ところがそれからが大変だった。賠償の件で悔しい思いをする。

「相手の保険会社は一方的にこちらの過失だと主張して保険金を支払ってくれません。こちらは保険のことなどまったく知りませんので、大人と子どものケンカです。どうしようもありませんでした」

 労災保険で何とか治療費はまかなえたが、藤村さんには納得がいかなかった。あとから知り合いの元保険代理店の方が好意で調べてくれたところ、一方的な過失ではあり得ないことがわかった。

 そんなとき、奥さんのてる子さんがぽつりと言った言葉が心に引っかかった。

「お父さん、こうやって困ったときに寄り添ってくれる保険屋さんがいたらいいのにね」

 藤村さんもそう思った。きっとそういう保険屋さんもいるだろう。でも、なかなか出会えないのが現実だ。

「だったら・・・」

 藤村さんは決めた。

「自分がそういう保険屋さんになろう!」

 グッドタイミングで新聞にY火災の保険代理店の募集広告があるのを奥さんが見つけた。

「お父さんは世話好きだからやってみたら」

 てる子さんが背中を押した。それまで家業の靴屋をやっていた藤村さん。店を整理してY火災に応募した。40歳を過ぎての一大決心だった。しかし、保険の知識などまったくない。

3年間研修があったのですが、その間、勉強に営業に、土日もなく、おにぎりやパンを片手に走り回っていました」

今までの人生の中で一番というくらいがんばった。その甲斐あって、ファイナンシャルプランナー、トータルライフコンサルタント、損害保険トータルプランナーという資格をとり、3年後には晴れて代理店として独立した。

お客さんに寄り添って、抱えている悩みにとことん付き合う

 独立してつけた社名は「ライフプランナー太陽」。お客様の人生・生命を照らす太陽のような存在になるという決意を込めた命名だった。

「保険は病気や事故、災害など万が一のときに助けてくれるものです。常にお客様に寄り添って悩みを聞いています。一緒になって問題を解決することが一番です。大げさに聞こえるかもしれませんが、愛の伝導をするんだというくらいの気持ちです」

 こんなことがあった。

 あるお客さんから店舗付住宅の火災保険を解約したいという相談が入った。住宅を売却することになったのだと言う。そのとき藤村さんにはピンとくるものがあった。何か大変な事情があるのではないか。

「ご家族の介護などで、経済的にとても困窮していることがわかりました。肉体的にも精神的にもクタクタになっていました。だれにも相談できず悩んでいました」

 普通なら解約手続きをして終りなのに、藤村さんはその方の悩みにとことん付き合った。

「人生で一番高い買い物が家です。二番目が保険です。二番目に高い保険を私と一緒に見直しませんか」

 解約、変更することで少しでも費用を少なくし、安心は高められるようにじっくりと時間をかけて話し合った。損得は関係ない。その結果、そのお客さんはがんばる意欲を取り戻した。立ち直るための費用も確保できた。保険はひとつの手段であって、藤村さんが提供したいのは「希望」なのだろうと思う。

 こんなこともあった。

 昨年夏の台風で、自宅に被害があったお客さんがいた。調査に出かけたときのこと。その方はパーキンソン病でほとんど寝たきりの状態。歩くにも介助が必要だった。藤村さんは長年、気功を習っている。手から気を出して人を癒すという種類の真氣光と呼ばれている気功だった。藤村さん自身、その気功によって手術が必要なほどだった重度の椎間板ヘルニアが良くなった。息子さんの事故の後遺症も気功ですっかりなくなった。

「そのお客さんをお訪ねしたとき、この人を何とか元気にしてあげたいという思いが込み上げてきて、気功の話をして、ぜひやってほしいというのでやってみました。そしたら、ずいぶんと歩くのが楽になったみたいで、2回目、3回目とお訪ねしました」

 保険も気功も自分にとっては同じだと藤村さんは言う。

「私は、保険は愛の伝道、気功は光の伝道だと思っています」

両方ともだれかを幸せにするための手段で、自分にはなくてはならないものなのだ。 

小原田泰久最近、保険業界では伝説的な人物として一目も二目も置かれている保険家・牧野泉氏と縁ができて、ときどき藤枝の事務所でお客さんの保険の見直しをしてもらっていると言う。

「牧野先生は、家計を節約する究極のサプライズ法を駆使して生命保険を見直す、証券診断の達人です。わかりやすく解説してくださるので『金融・保険業界の池上彰』と呼ばれています。

牧野先生と面談していると、だれもが笑顔になります。魔法の証券診断と私たちは感動しています」

 その点も気功と似ているのだそうだ。保険というのは素人にはわかりにくい。だから、かつての藤村さんのように悔しい思いをする人も少なくないはずだ。そんなとき、どうすればいいのか、お客さんの気持ちに寄り添い、先を見据えてアドバイスしてくれる保険家がいたらどれほど助かるだろう。その上、気功で体調も良くしてもらったら最高ではないか。

「お金よりも社会貢献です」

 藤村さんは、保険と気功を両輪に人助けの道をまい進する。

「人生の節目には、不思議と日輪を見ます。平成末から令和にかけて4回も見ました」

 見えない世界からの応援なのではないだろうか。