Tacae Nakagawa

Professional Singer

声を出して自分だけのスイッチ
(切替え)を押してみませんか?

音だますいっち Vol.5

 声は自分が思っている以上に感情や性格が出やすいものだと考えさせられる事がありました。

 先日、兄に電話した時のこと。一生懸命説明しているだけなのに、受話器の向こうから「なぜ、そんなに怒っているのか?」という空気が流れてきました。兄は決して咎めるような事は言いませんが、話のキャッチボールから「そんなに怒らなくても…」音だまという氣を感じたのです。電話を切った後、何故、そんな風に感じたのだろう?と考えました。電話していたシーンを頭に蘇らせ辿ってみると、私には沢山話したい事があり、更にそれを正確に伝えようとしていました。決して怒っているわけではなかったのですが、忙しい兄に短時間で伝える事に必死過ぎて、その必死さが声や語調に伝わり、捲したてる様な、怒っている口調に聴こえたのだろうと反省したのでした。

 幼い頃、私はハッキリと話さない子でした。声もハスキーでしたし自信もなかったからです。でも、そんな話し方が、優柔不断で何にでも物怖じしてしまう私を作っているのかも知れないと思い、高校時代から話す速度を変え、滑舌の練習をし、ハッキリと話せるようにしてきました。実際、それは私の性格を変えた様に思います。自分の考えを出せるようになりましたし、今では「引っ込み思案で」というと大体「それはない」と笑われてしまうほど、外見、物怖じしない私になったのではないかと思います。声に関しても「通る声」とか「聞き取りやすい」などと言っていただく事も多くなりました。

 しかし、気を付けないとキツく聴こえてしまうのだと思います。冒頭のように、言いたい事が沢山あって次から次へと話してしまい、尚且つ、顔が見えないとなると、怒っているのかと思われても仕方がありません。また、そんな話し方によって、せっかちにもなってきます。

 近頃は、急いで話しをする時こそ、深呼吸して、ゆっくり話すように心がけています。

 皆さんはどんな話し方をしていますか?どんな声で、どんな風に、どんな速さで話しているでしょう?そこを思い返してみると、自分の良さ、直した方が良いところ、最近の自分の様子がわかるかも知れません。