Tacae Nakagawa

Professional Singer

声を出して自分だけのスイッチ
(切替え)を押してみませんか?

音だますいっち Vol.6

中川貴恵
真氣光カフェのスイーツ

 ひと昔前は幼稚園や保育園、小学校等での歌のコンサートを中心にご依頼をいただいていました。ちょうど、私もその年齢の子供を育てていましたし、音楽教室でも生徒さん達がその年代でしたので、勉強にもなりましたし、自分の力を発揮できるところでもありました。

 ところが3・11の震災後は、デイサービスやホーム等でのコンサートや講座が主になり、急にご年配の方々との関わりが増えました。その頃、認知症の母の様子や、母の好きな歌が大変参考になりました。その中で、とりわけご年配の方々にはもちろん、私のような年代からも気を付けていくべきではないかと思う事があります。それは、「飲み込むのを忘れない」という事です。私が区で講師をしている講座や、東京センター内での「音だまスイッチ」でも毎回のようにお話させていただいている事です。

 私達人間は、胎児の時、母親の羊水を飲む事によって飲み込む練習をしてから生まれてきます。ですから、生まれて直ぐにオッパイも飲めるわけです。

中川貴恵
音だまスイッチで出しているデトックスウォータ

しかし、それ以降はなんとなく出来てしまっていることから、練習をするどころか、気にも留めなくなってしまいます。それではやはり、加齢と共に忘れてしまうものだと思います。ですので、ご飯を食べる時、飲み物を飲む時、1、2回で良いですので、飲み込むという事を意識して欲しいのです。ノドのどこが動くのか、どの様に飲み込んでいるのか、考える事が必要だと思います。

 あとは、よく歌ったり、話したり、声を出す事も効果的だと思います。口内やノドの筋肉が動きますので鍛えられる事でしょう。

中川貴恵 母は、最期の方は飲む事を忘れてしまいました。多分、どうやって飲み込むのか、食べ物や飲み物は口に入れたらどうするのかを忘れてしまったのでしょう。それに加えて、声も滅多に発しませんでしたので、筋肉も衰えてしまったのだと思います。

 人間は飲み込む事ができないと、水分も摂れません。自分も困りますが、食べさせたい、飲ませたいと思う周りの人たちも大変辛い思いをします。

 ぜひ、飲み込む練習をしてください。そして、歌ったり、声を出して、ノドを鍛えてください。

 いつまでも飲んで、食べて、歌って、笑って、元氣でいましょう!!