「音痴なのですが、直せますか?」といったご質問をたまに受けます。その時には「根っからの音痴っていませんよ。」とお答えしています。「音痴です。」という方に「小さい時に、歌っていて、誰かに歌わな方がいいとか、笑われた経験があるのでは?」という質問すると、皆さん「そうです、あります。」と答えられます。「音痴だから歌えない」のではなく、実は「歌わないできた」ことこそが原因なのです。
「音痴」を分析してみると、「聴こえ」と「声の出し方」についての問題が挙げられます。「聴こえ」については、「自分の音が違うと感じる」方と、「自分の音が違うとは思わない」方に分けられます。前者は客観的に聴こえているので、あとは歌い方の練習をすれば音痴は改善されます。後者の場合、最初に自分の状態を知る必要があるので、録音をして聴いてみられると良いでしょう。
それでは「声の出し方」については、どのような問題があるのでしょうか?
一つに、呼吸法や喉の筋肉などが、歌うことに対して慣れていない事が挙げられます。歌う声も話す声も、出し方は大して変わりはありません。しかし、歌が苦手な方にとっては歌うことはハードルが高く、身構えてしまい、思うように声が出せなくなってしまうのでしょう。
もう一つは、高音が出ない事が挙げられます。音痴だと言われるだいたいの方が、話し声より上の音程の出し方が分からず、音程がつけられないように見受けられます。
両者とも呼吸法と、一音一音確認しながら声を出してみるという事を何度か繰り返すことで、随分と声が出しやすくなります。
私のかつての生徒さんで、4音以外は全て同じ音になってしまう方がいらっしゃいました。それでも、一曲はカラオケで歌えるようになりたいという事で、その一曲を二か月かけてレッスンし、歌えるようになりました。二曲目以降は時間をかけず、すぐに歌えるようになり、声域も2オクターブ近くに広がったのです。
このように、声を出す事に慣れれば、普通に歌えるようになるのです。そして自信をつける事。歌の苦手な方は、身近な優しい人に聴いてもらってアドバイスしていただきながら、繰り返し歌って、慣れていくといいと思います。その時に録音をして聴くと、より効果的です。自分の状態を知って、次第に上手くなっていくのを聴くと、自信にも繋がります。
声を出す事により、呼吸も安定し、ストレスが発散でき、免疫力も高まると言われています。コロナ禍で、集まって声を出す事はできませんが、私も今後、オンラインを通して皆で歌う機会を作りたいとも思っています。皆様が歌って楽しい!と思ってくださると、私もとても嬉しく思います。