Tacae Nakagawa

Professional Singer

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音だますいっち Vol.27

 「やさしさに包まれたなら」という松任谷由実さんの歌をご存知でしょうか?

 もう26年ほど前のことになりますが、兄夫婦がドライブに誘ってくれた時のこと。兄の運転する車の中でかかっていたラジオ番組から、この曲が流れてきました。すると、義姉のみどりさんが「これって真氣光っぽいよね」と言いました。「目にうつる全てのものはメッセージ」という歌詞を指してそう言ったのです。ほんとだねーと言いながら、一緒に口ずさんだことが、ついこの間のように思い出されます。それ以来、私にとってこの歌は「みどりさんの歌」になりました。

中川貴恵 もともとこの歌は、不二家「ソフトエクレア」のCMソングとして作られたそうです。ソフトエクレアは私も大好きで、よく食べましたが、キャラメルに包まれたクリームが中からトロッと出てくるキャンディです。なるほど、それで「やさしさに包まれたなら」なのだと、納得です。

中川貴恵 そのCMソングから15年ほど経った頃、この歌は今度はアニメ映画「魔女の宅急便」のエンディングに起用されました。そして、再びよく耳にする曲となり、その日、私たちの耳に飛び込んできたのです。

 どうですか?ステキな歌詞ですよね。

ソフトエクレアのCMバージョンでは、「全てのことは 君のもの」となっているそうですが、発売されたレコードでは「全てのことは メッセージ」となったそうです。「メッセージ」と歌詞が一つ変わっただけで、とてもスピリチュアルな要素が含まれたように感じます。

中川貴恵 それから、「奇跡」ではなく「奇蹟」と使い分けられたことにも、意味深いものを感じます。神の力によって起きた不思議な出来事は「奇蹟」で、そうではない、単なる偶然などで起きた不思議な出来事を「奇跡」と書くそうです。この歌の場合は神の力によって起きる事を意味しているのですね。

 2番は「雨上がりの庭で クチナシの香りの やさしさに包まれたなら〜」という歌詞です。クチナシの咲く頃は、初夏のちょうど今頃。

 この時期になると、この曲とともに、義姉との思い出がよみがえります。