3月2日、3日、東京・代々木で「医者の井戸端会議」というイベントが開催された。「医療の現場で携わる統合医療の医師、歯科医師、看護師、薬剤師、患者、セラピスト・ヒーラー、研究者、メーカーなど、異なる立場の医療関係者が集まり、それぞれが本音で情報交換を行うことで、国民の健康に対する適切な指針をつくる」
と設立趣意には書かれている。とてもいいことだと思う。
「統合医療を統合する」という高い理想を掲げて船出した「医者の井戸端会議」。簡単に実現できるものではないけれども、「井戸端会議」というスタンスに「ひょっとしたら」という可能性を感じる。
西洋医学は、こういう病気にはこういう治療をするという基準がある。しかし、統合医療は、西洋医学以外のさまざまな代替療法が加わるので基準作りがとても難しい。がんの患者さんが取り組む代替療法では、食事療法がもっともポピュラーだが、食事療法と言っても数限りなくあって、書店へ行けば、たくさんの食事療法に関する書籍が並んでいる。さてどれを選ぶか、ここで悩んでしまう。本を買って読むと、まったく矛盾する方法が推奨されていたりして、よけいに混乱する人もたくさんいるだろうと思う。
そういうのをどうやって統合すればいいだろうか?「こうあるべきだ」「医療を変えるんだ」という大上段からの議論だと、まず内部分裂で幕を閉じることになる。そうやって消滅した団体はいくらでもある。もっと緩くして、「こんな治療法もあって、けっこういい感じだよ」くらいの情報交換の場として、その治療法を採用してみようという人もいれば、自分には理解できないと距離を置く人もいていいという寛容さがあれば、まさに井戸端会議としてより多くの人を巻き込むことができて、統合医療の広がりに大きく貢献できるのではないだろうか。