小原田泰久行動派たちの新世紀 vol. 204
月刊ハイゲンキ
2019年5月号 掲載記事

ざっくばらんに楽しく統合医療が語れる場を作ってほしい

 氣は医療の分野でとても重要な役割を果たすはず。実際、氣を受けることで長年の体調不良から抜け出せた人も少なくない。しかし、科学的な根拠がないということで、なかなか医療としては認められないのが現状だ。そんな中、より幅広い医療を求める医師たちが集まり始めている。

統合医療を統合するという高い理想を実現するのは簡単ではないが

 32日、3日、東京・代々木で「医者の井戸端会議」というイベントが開催された。「医療の現場で携わる統合医療の医師、歯科医師、看護師、薬剤師、患者、セラピスト・ヒーラー、研究者、メーカーなど、異なる立場の医療関係者が集まり、それぞれが本音で情報交換を行うことで、国民の健康に対する適切な指針をつくる」

 と設立趣意には書かれている。とてもいいことだと思う。

小原田泰久「統合医療を統合する」という高い理想を掲げて船出した「医者の井戸端会議」。簡単に実現できるものではないけれども、「井戸端会議」というスタンスに「ひょっとしたら」という可能性を感じる。

 西洋医学は、こういう病気にはこういう治療をするという基準がある。しかし、統合医療は、西洋医学以外のさまざまな代替療法が加わるので基準作りがとても難しい。がんの患者さんが取り組む代替療法では、食事療法がもっともポピュラーだが、食事療法と言っても数限りなくあって、書店へ行けば、たくさんの食事療法に関する書籍が並んでいる。さてどれを選ぶか、ここで悩んでしまう。本を買って読むと、まったく矛盾する方法が推奨されていたりして、よけいに混乱する人もたくさんいるだろうと思う。

 そういうのをどうやって統合すればいいだろうか?「こうあるべきだ」「医療を変えるんだ」という大上段からの議論だと、まず内部分裂で幕を閉じることになる。そうやって消滅した団体はいくらでもある。もっと緩くして、「こんな治療法もあって、けっこういい感じだよ」くらいの情報交換の場として、その治療法を採用してみようという人もいれば、自分には理解できないと距離を置く人もいていいという寛容さがあれば、まさに井戸端会議としてより多くの人を巻き込むことができて、統合医療の広がりに大きく貢献できるのではないだろうか。

統合医療では先駆者である西本真司先生の発表もあった

 統合医療を統合するのは簡単なことではないと思うが、医療の流れは確実に統合医療に向かっている。統合医療を目指す医師は間違いなく増えている。この会の2日目に参加したが、意欲をもってさまざまな治療法の取り組んでいる医師たちの発表はとても心強かった。  たとえば、「口の中は適度に不潔なほうがいい」。腸内細菌ももちろん大切だが、口の中にもたくさんの細菌がいて、そのバランスが良ければ病気小原田泰久になりにくいのだそうだ。口の中は清潔にしないとと、薬用のうがい薬を使ったら、何度も何度も歯磨きをすると口内細菌のバランスが崩れて、それが病気の原因になることもあると言う。認知症の予防には「握って」「歩いて」「噛む」ことが大事ですよというのも、聞いていてやってみようかと思えてくるいい情報だ。お医者さんとの付き合い方の話もあった。 「お医者さんは病気や健康のことなら何でも知っていると思わないでください。専門分野は詳しいけれども、専門外のことは知りませんから」これももっともなことだ。私がこの会に参加したのは、真氣光とも縁の深い西本真司先生(西本クリニック院長)の発表があったからだ。西本先生は20代のころ、「潰瘍性大腸炎」という難病で苦しんだことがある。そのころ、真氣光とも出あった。当時は下田で行われていた真氣光研修講座にも参加した。真氣光をはじめ、さまざまな代替療法を使って、良くなっては悪化を繰り返したが、ついには完治させた。その体験を生かして、痛みで苦しむ人や、がん、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎など難病の患者さんを統合医療で治療している。  西本先生はこの分野では先駆者だ。統合医療やホリスティック医学という言葉がまだ一部にしか知られてなかったころから、医療にとって何が必要か、学会や講演会で堂々と語ってきた。強い言葉で攻撃されたこともあったそうだ。それでも、自分の信念を曲げずにずっと統合医療に取り組んできた姿勢には頭が下がる。  たまたま潰瘍性大腸炎で苦しんだことのある医師と会うことがあった。西本先生のことを話すと、彼ももちろんよく知っていて、ひどい状態のときにいろいろと相談に乗ってもらったのだと感謝していた。  その医師も、自分の病気を克服し、今は統合医療の道を進んでいる。彼のように、西本先生の影響を受けて、新しい医療を志す医師はたくさんいる。この会でも、西本先生の話を聞いて、はっと思った人は多いだろうと思う。  自分のやっていること、信じることを語れる場はとても大切だ。患者さんが体験を語るチャンスがあってもいいかもしれない。  学会は学会でアカデミックなことを議論すればいい。そうではなくて、もっとざっくばらんに楽しく語り合える場があって、そこに医療のことはよく知らない人も集まってきて、患者さんは患者さんで、自分が主体になって治療を選択するためのいい機会になるなら、この集まりはこれからますます発展していくのではないだろうか。