ハイゲンキ〜行動派たちの新世紀 vol. 219
月刊ハイゲンキ
2020年8月号 掲載記事

新しい時代を感じさせる。オンラインでの授業や仕事

 新型コロナウイルスで学校は休みになり、仕事も在宅でという会社が増えた。そんな中で大いに活躍したのがインターネットだった。オンラインでの授業や会議などが盛んに行われ、授業のあり方、働き方など、新しい時代を感じさせるやり方が続出した。

学校が休みになり、授業がオンラインで行われた

 私たちの生活は新型コロナウイルスによって大いに混乱させられている。第二波、第三波があるかもしれないと言われていて、なかなか世の中が落ち着くところまではいかない。だが、コロナ騒ぎが始まってからの動きを見ていると、人間というのは困難があっても、いろいろ知恵を絞って工夫をして新しい道を見つけ出すものだと感心させられる。

 テレビのバラエティやワイドショー、ニュース番組もオンライン出演が当たり前になってきた。最初は違和感があったが、作る側も見る側も慣れてきたのか、抵抗感なく見られるようになった。

 体を張って動画を配信している小学校の校長先生の話が新聞に出ていた。かつらをかぶったり、顔を白塗りにしたり、馬のマスクをかぶったりして「私はだれでしょう?」とクイズ形式で歴史の授業をやっているのだと言う。これが児童にも父兄にも大受け。顔に白い絵の具を塗ったときには顔が腫れてしまったそうだ。

 休校が続くため仕方なく始まったオンライン授業だっただろうが、中には、この校長先生のように、いかに子どもたちが楽しめるかとサービス精神を発揮する先生もいて、オンラインだからこそ楽しめる授業が展開されている。

小原田泰久 体育や部活もオンラインでやっている学校もある。インターネットでのオンライン会議システムを使って、先生が体を動かすのを見ながら、生徒たちも自宅でトレーニングをするのだ。実際の授業や練習のようにはできないだろうが、どうしても家にいると運動不足になってしまう。少しでもオンラインで対処しようと学校も教師も努力をしている。

 学校は再開されたけれども、オンラインで授業ができることがわかったのは大きい。不登校の子も家で授業を受けるという選択ができるといいのにと思える。無理に学校へ来させようとするのではなく、できる範囲で学校との接点をもてばいい。

 せっかくインターネットが使えるのだから、もっと緩やかな学校制度に変えてもいいのではないだろうか。

 在宅ワークも定着してきた。

 どんなふうにしているのだろうか? 会計ソフトを販売している会社に勤めているOLは、毎日、在宅で顧客の相談を受けている。チャットと電話だから在宅で十分にできてしまう。

 「毎日、8時ごろに家を出て1時間ほどかけて会社へ通っていました。それがなくなって往復の2時間が空いたわけですから、すごく余裕があります。仕事はまったく支障がありません。これが続くといいと思います」

 と言う。ただし、ずっと家で仕事をしているので運動不足になってしまうのがデメリットのようだ。

在宅ワークになってスタッフとのコミュニケーションが密になった

 塗料の販売をしている会社の社長は、在宅ワークになっていろいろな発見があったと話してくれた。

 毎日オンラインで会議をし、取引先との打ち合わせも電話かネットですませているそうだ。

 「これまでは毎日会社へ行って打ち合わせをし、毎日のように飛行機や新幹線に乗ってお得意様を回っていました。海外出張もありました。

 しかし、今は電話やオンラインで十分に用が足りてしまいます。これまでどうしてあんなに走り回っていたのかと、空しく感じてしまいますね。『忙しい』とか『疲れた』といった言葉が出なくなりました」

 職種によっては難しいものもあるだろうが、オンラインで代用できる仕事はかなりあるだろうと思う。

 「不思議なんですが、オンラインになってスタッフとのコミュニケーションがとれるようになった気がします」

 と先ほどの社長は言う。

 「あちこち飛び回っていましたから、スタッフとゆっくりと話をする機会がありませんでした。スタッフの顔を見て話してなかったなと、パソコン越しにみんなの顔を見て思いました。仕事のやり方、スタッフとのかかわり方を見直すいいチャンスでした」

 確かに、仕事のやり方を見直すチャンスになった人は多いだろうと思う。

 オンラインで仕事ができるとわかって、東京を離れる人も増えてきたようだ。地方にいても十分に仕事ができるではないかとわかったからだ。

 田舎だと生活費も安くなるので、がむしゃらに働く必要はない。通勤時間も節約できる。その分、家庭菜園をやったり子どもと遊んだりできて、とても豊かに暮らせるようになる可能性もある。

 新型コロナウイルスは人が密にかかわらざるを得ない都会で広がった。人が分散するのはウイルス対策にもなる。

 在宅ワークが広がることで、社会が穏やかな方向に変化していくのではないだろうか。

 旅行をオンラインでというユニークな動きもある。大手の旅行会社がすでに始めているそうだ。

 インターネットを通して現地の旅行ガイドとつながる。旅行ガイドが名所を案内する。参加者はそれを画面で見ながら、ガイドに質問したりして、旅行気分を味わうのだ。

 中には、参加者に名所に関するグッズを送って、さらにムードを高めようという演出もあると言う。このバーチャル旅行、商品として力を入れていこうという会社もあって、これから楽しい企画がたくさん登場するのではないだろうか。

 オンライン飲み会も話題になった。いろいろなことがオンラインで行われる。リアルに人と会いたいのは山々だが、こういう時期だから仕方ない。困難の中から新しい発見をしていきたいものだ。

 エス・エー・エスでも、オンラインで研修講座が開催された。氣は対面であろうとオンラインであろうと、同じように届く。2泊3日という時間がなかなかとれないとか、遠いので参加できないとか、体が不自由で会場までいけないという人には朗報だっただろうと思う。

 コロナのおかげで、今までの固定観念が少し壊れたかもしれない。時代はどんどん変化していく。変化をうまく受け入れ、活用していけば、可能性は広がるはずだ。マイナスをプラスに変えるトレーニングだと思って工夫をしていきたい。