農業をやるというと、いきなり田んぼや畑を借りて独立しないといけないと思ってしまう人もいるようだ。田んぼや畑を借りるには資金がいるし、借りられたとしても、すぐに生活できるだけの作物ができるはずがない。まずは、先ほどの自治体で行なっている研修を受けるなどして、農業技術のノウハウを身につけないといけない。
独立して農業をやることに不安があるなら、農業法人に就職するという手がある。これなら給料をもらいながら技術を身につけることもできる。いずれは独立してやりたいという人にもうってつけだ。
農業法人というのは企業として農業を営む法人のこと。家族だけで設立した法人から従業員が数百人もいる法人もある。複数の作物を栽培している法人が多く、最近では加工や販売にも取り組み、観光農園やレストランを経営する法人も増えている。農業法人も多角化すればするほど、新規就農者が必要になってくる。農業をやってみようと思う若者を、農業法人は求めているのだ。最近では、社会保険、労働保険など福利厚生の面は整ってきていると言う。ただし、給料はそれほど高くない。しかし、いずれは独立しようと思うなら、お金をもらって研修が受けられるところにメリットを見出してもいいのではないだろうか。普通のサラリーマンと同じような安定性だけを考えてしまうと先に進めない。ちなみに、新全国新規農センターの調査によると(2010年)、初任給(月給)は高卒で14万~16万、大卒で14~ 20 万円だそうだ。
農業法人に就職しようと思ったらどうしたらいいのか。
まずは求人情報を収集する。ホームページで情報を集めてみる。全国新規就農相談センター、新・農業人フェア、公益社団法人日本農業法人協会などで全体の流れを見て、興味ある法人があれば、そこのホームページで調べてみる。
農業インターンシップという制度を設けているところも多いので、数日間、泊まり込みで農業を体験し、その法人の雰囲気も感じながら、経営者や仲間たちと交流することもできる。農業インターンシップの情報は、全国新規就農相談センター、公益社団法人日本農業法人協会で探せる。
インターンシップのいいところは、どんな法人かを自分の肌で感じることができることと、もうひとつは、都会でしか暮らしたことがない人なら、田舎での生活がどんなものかを少しでも体験できるからだ。生活環境ががらりと変わってしまうこともある。戸惑わないためにも、前もってどんなところで暮らすのか知っておくことも大切だ。
年配者になれば研修への参加や農業法人への就職は難しいだろうと思う。今は少し田舎へ行けば、いくらでも耕作放棄地がある。そこを借りて、小さな規模でいいので、米や野菜を作ればいいだろう。農作業は適度な運動にもなって健康作りにも役立つ。
農業を視野に入れて生活設計をすることで、毎日がより豊かになるのではないだろうか。